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リボルバー [本]

原田マハ著

内容紹介:ゴッホの胸を撃ち抜いたのは誰だ? オークション会社に持ち込まれた一丁の錆びたリボルバー。「ゴッホの自殺」。アート史上最大のミステリーに迫る傑作長編誕生。

あらすじ:パリ大学で美術史の修士号を取得した高遠冴(たかとおさえ)は、小さなオークション会社CDC(キャビネ・ド・キュリオジテ)に勤務している。週一回のオークションで扱うのは、どこかのクローゼットに眠っていた誰かにとっての「お宝」ばかり。高額の絵画取引に携わりたいと願っていた冴の元にある日、錆びついた一丁のリボルバーが持ち込まれる。それはフィンセント・ファン・ゴッホの自殺に使われたものだというーー。「ファン・ゴッホは、ほんとうにピストル自殺をしたのか?」「――殺されたんじゃないのか? ……あのリボルバーで、撃ち抜かれて。」

台東区の図書館予約を入れて約半年、順番はあと10人を切りましたが、もう、お引っ越しです。予約はキャンセルして、あらためて、東海村図書館で借りました。前半が遅々として進まず、毎日、1、2ページくらいしか読めませんでした。しかし、後半になると、面白くて一気に読み終わりました。ゴッホとゴーギャンとテオ、それぞれの思いが交錯して事件が起きた。映画「ゴッホ 最後の手紙」でもゴッホの死の真相は謎のままでした。しかし、本著はなかなかに納得のいくストーリーでした。原田マハの「史実に基づくフィクション」にバンザイです。

ゴッホ 最後の手紙 https://dearlip.blog.ss-blog.jp/2017-12-19

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小さな白い山野草

2020年だったと思うのですが、上野グリーンクラブで買ったものです。2021年は花をつけませんでした。東海村の気候が合うのか、咲きました。花の名前は忘れてしまいました。

追記:ブログを振り返ったら白い花の記事を見つけました。「タカサゴカラマツ」でした!
https://dearlip.blog.ss-blog.jp/2020-04-16
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つまらない住宅地のすべての家 [本]

津村記久子著

内容紹介:とある町の、路地を挟んで十軒の家が立ち並ぶ住宅地。そこに、女性受刑者が刑務所から脱走したとのニュースが入る。自治会長の提案で、住民は交代で見張りをはじめるが、、、。住宅地で暮らす人間それぞれの生活と心の中を描く長編小説。その日、丸川亮太がいつものように中学の制服に着替えて朝食をとっていると、テレビから「二つ隣の県の刑務所から女性が脱走した」という、少し前から話題になっているニュースが流れた。その逃亡犯は亮太の家の方に向かっているらしいとのことで、亮太の父親が住宅地を見張ろうと言い出した。そんな丸川家の向かいにある矢島家。小学生の姉妹と祖母・母親の四人で暮らしているが母親は留守がちで、姉のみづきが妹の面倒をみていたのだった。そしてその隣の真下家では…。

津村記久子:1978年、大阪府生まれ。2005年「マンイーター」(改題『君は永遠にそいつらより若い』)で太宰治賞を受賞してデビュー。2008年『ミュージック・ブレス・ユー!!』で野間文芸新人賞、2009年「ポトスライムの舟」で芥川賞、2011年『ワーカーズ・ダイジェスト』で織田作之助賞、2013年「給水塔と亀」で川端康成文学賞、2016年『この世にたやすい仕事はない』で芸術選奨新人賞、2019年『ディス・イズ・ザ・デイ』でサッカー本大賞、2020年、翻訳された「給水塔と亀」でPEN/ロバート・J・ダウ新人作家短編小説賞を受賞

十軒の家とその家族、プラス、脱獄した女性とその関連の人々。登場人物が多くて大変です。何度も家々の地図と登場人物の説明を頭に戻って確認しながらだったので途中まではゆっくりペースでした。ところが、そうしたそれぞれの家庭の事情の説明が済むと一気に面白くなります。町内で協力して夜番に立ったり、オンライゲームの仲間のやり取り、祖母の秘密。ラストはまずまずのハッピーエンドで、ほっと胸を撫で下ろしました。小学生の女の子がご飯の炊き方をしる、年配夫婦が「あんかけカタ焼きそば」を夜番の人に振る舞う、丸山家のお父さんがケークサレを焼く、など、ご飯シーンが良い。
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コロナ狂騒録 [本]

海堂尊著

内容紹介:あれから1年。浪速では医療が崩壊し、東京には聖火がやってきた、、、。ワクチンをめぐる厚生労働省技官・白鳥の奔走。そして、ついに東城大学医学部付属病院で院内クラスターが……。田口医師はこの難局をどう乗り越えるか!? 混迷を極める日本の2020—2021を描き尽くす、最新コロナウイルス小説!『コロナ黙示録』に続く、現代ニッポンの“その後"

新型ウイルスのパンデミックに全世界が戦々恐々としました。日本に限りません。どの国でも政治家、医療関係者、保健所の人たち、みんな何が正解なのかわからないままに二年間、いくつもの感染拡大の波の中をがむしゃらに進んできたように思います。ここ1、2ヶ月は感染が引いてきていて明るい気持ちになったところですが、オミクロンという新しい変異株があらわれました。「空港での水際作戦」なんて、期待してはいけない、と思いました。案の定です。ふぅ。まだまだ、手洗い、うがい、マスク着用。そして自分の免疫力を強くするために散歩などの運動を怠らないようにして暮らすしかありません。
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寺泊 [本]

水上勉著

内容紹介:故郷、あるいは若い頃の、著者の脳裏に突き刺さるように残っている人物や風景についてのエッセイ。「寺泊」「太市」「千太郎」「棗(なつめ)」「冬日帖」「リヤカーを曳いて」「山寺」「踏切」「雪みち」「短かい旅」。表題作「寺泊」は1977年、第4回川端康成文学賞受賞

水上勉(みずかみ つとむ) 1919-2004年。福井県大飯郡本郷村生まれ。社会派推理小説『飢餓海峡』、少年時代の禅寺での修行体験を元にした『雁の寺』、伝記小説『一休』などで知られる。禅寺を出奔して様々な職業を経ながら宇野浩二に師事、社会派推理小説で好評を博して、次第に純文学的色彩を深め、自伝的小説や女性の宿命的な悲しさを描いた作品で多くの読者を獲得。その後は歴史小説や劇作にも取り組む一方、伝記物に秀作を残した。作品の映像化も多い

図書館のジャケ借りコーナーから選んだ一冊。装丁は司修。表は白い無地の布風に独特な表題の文字。開いた内側に木版画が黒と白で寺泊の海を想像させます。少し前のこと、水上勉の原作とは知らないで映画「飢餓海峡」をテレビで見ました。
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灰の劇場 [本]

恩田陸著

内容紹介:大学の同級生の二人の女性は一緒に住み、そして、一緒に飛び降りた、、、。いま、「三面記事」から「物語」がはじまる。きっかけは「私」が小説家としてデビューした頃に遡る。それは、ごくごく短い記事だった。一緒に暮らしていた女性二人が橋から飛び降りて、自殺をしたというものである。様々な「なぜ」が「私」の脳裏を駆け巡る。しかし当時、「私」は記事を切り取っておかなかった。そしてその記事は、「私」の中でずっと「棘」として刺さったままとなっていた。ある日「私」は、担当編集者から一枚のプリントを渡される。「見つかりました」、、、彼が差し出してきたのは、一九九四年九月二十五日(朝刊)の新聞記事のコピー。ずっと記憶の中にだけあった記事、、、記号の二人。次第に「私の日常」は、二人の女性の「人生」に侵食されていく。新たなる恩田陸ワールド、開幕!

恩田陸(オンダ リク) 1964年-。宮城県生まれ。92年『六番目の小夜子』でデビュー。2005年『夜のピクニック』で吉川英治文学新人賞および第2回本屋大賞、17年『蜜蜂と遠雷』で直木三十五賞、本屋大賞を受賞。著書多数

章は「0」「1」「(1)」「0~1」と分けられており、それぞれ、作家としての、飛び降り自殺をした女性二人の、フィクションとして演劇となる、フィクションとリアルが重なる、視点というか叙述というか、全体にもやもやとした灰色の世界が広がります。女性二人で同居することになり、40歳代で死を選ぶに至る訳は一体何だったのか、謎です。それを作者は「本当にわからない?」「彼女たちとあなたと何が違うの?」「あやふやに、適当に毎日を人生を過ごしているのでは?」と読者である私に問いかけてくるのです。ちょっとゾワっとします。人生に少しの迷いもなく、キッパリと堂々と生きている人というのは案外少ないのかもしれません。
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くらのかみ [本]

小野不由美著

内容紹介:「四人ゲーム」。まっくらな部屋の四隅に四人の人間が立ち、肩を順番に叩きながら部屋をぐるぐる回るゲームだ。とうぜん四人では成立しないはずのゲームを始めたところ、忽然と五人目が出現した! でもみんな最初からいたとしか思えない顔ぶればかり。――行者に祟られ座敷童子に守られているという古い豪壮な屋敷に、後継者選びのため親族一同が呼び集められたのだが、後継ぎの資格をもつ者の食事にのみ毒が入れられる事件や、さまざまな怪異が続出。謎を解くべく急遽、少年探偵団が結成された。もちろんメンバーの中には座敷童子も紛れこんでいるのだが、、、

小野不由美(1960年-) 大分県中津生れ。大谷大学在学中に京都大学推理小説研究会に在籍。「東亰異聞」が1993(平成5)年、日本ファンタジーノベル大賞の最終候補作となり、話題を呼ぶ

図書館の「ジャケ借り」という特設コーナーから借りてきました。装丁は祖父江慎、表紙と挿絵が村上勉。箱入りです。その箱に穴が丸く空いていて、主人公の男の子の顔が見えます。「講談社ミステリーランド」のために書き下ろした作品だそうです。ミステリーランドのコンセプトは「かつて子どもだったあなたと少年少女のための――」という。土地と財産のある本家の後継を決めるために集まった親戚一同。ドクゼリによる食中毒が起きる、底無し沼にあやうく落ちてしまいそうになる、5人しかいない子供がなぜか一人増えて6人になっているなど、次々と起きる謎を解く子供たち。こんぐらがりながらも、面白く読みました。私もかつて子どもだったからかなぁ。
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手島圭三郎全仕事 [本]

木版画で極めた聖域[原始の森]
「手島圭三郎全仕事」編集委員会・編

内容紹介:代表作「しまふくろうのみずうみ」「きたきつねのゆめ」「おおはくちょうのそら」で国内外デビューを果たし、カムイ・ユーカラの世界も初めて木版画による絵本化。北海道の大自然を描写した36作品は、アメリカ、ドイツ、スイス、デンマーク、スウェーデン、中国、韓国で翻訳され、海外でも高い評価を獲得しました。動物たちの親子愛、兄妹・夫婦愛、仲間愛から、孤独に生きる姿などを描くドキュメンタリー手法は、古来の日本人の自然観を再現したと評される斬新さで迫力満点。アトリエでの制作風景から、作品内容をつぶさに紹介しながら、「自作のプロローグ」や「小伝」で作家の内面に踏み込み、手島木版画の魅力を余すところなくお伝えします

「自作のプロローグ」が特に面白い。紋別市で過ごした子供時代の記憶。阿寒の前田一歩園にゆかりのある人物と出会って、誰も知らない、誰も見たことのない湖を見せてもらったこと。住まいの近くに野幌森林公園があり、そこで自然観察をしていること。北海道の大自然とガッツリと向き合う手島氏の暮らしぶりです。
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手島圭三郎 [本]

「おおはくちょうのそら」
「えぞふくろうのみみ」

手島圭三郎(1935年-) 北海道生まれ。北海道学芸大学札幌校卒業。教員生活を経て、版画家として独立。日本版画協会会員。1982年「しまふくろうのみずうみ」でデビュー、同作品で絵本日本賞を受賞。その後、精力的に創作活動を続け「きたきつねのゆめ」でボローニャ国際児童図書展グラフィック賞、「カムイチカプ」で厚生省児童福祉文化奨励賞受賞。「きたきつねのゆね」「おおはくちょうのそら」は、1987年、1988年ニューヨークタイムズ紙選「世界の絵本ベストテン」に選出される。北海道在住

日曜日の朝、NHK「日曜美術館」で偶然にみました。北海道の自然を木版画で表現する、北海道の生き動物たちの物語が刻まれている。版画も物語も両方ともすごくいい感じなんです。子供たちへの今年のクリスマスプレゼントは手島氏の最新作であり最終作ともなる「きたきつねとはるのいのち」に決めました。どこか本屋で見つけられるかなぁ。差し当たり、、、いつものように図書館から「おおはくちょうのそら」と「えぞふくろうのみみ」を借りて読みました。いいです。とてもいいです。

あわわわ、手島圭三郎さんは現在北海道江別市にお住まいで、彼が講師を務める同好会「大麻木版画同好会」があるらしい。いっそのこと江別に移住してその同好会に入りたいくらいです。
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山に生きる [本]

失われゆく山暮らし、山仕事の記録
三宅岳著

内容紹介:古来より山人の暮らしを支えてきた手仕事を一気に紹介。民俗学的観点からも非常に価値のある記録集。懐かしいだけでなく、現代にも続く山仕事もあり、そのリアルを骨太な文章で紡ぎ出す。著者30年に渡るフィールドワークの集大成

三宅岳(1964年-) 神奈川県藤野町(現・相模原市緑区)に育ち、遊び、暮らす。東京農工大学環境保護学科卒。フリー写真家。おもに山の写真を撮影。北アルプス・丹沢・入笠山などの山岳写真に加え、炭焼きをはじめ山仕事や林業もテーマとする。著書に『アルペンガイド丹沢』『雲ノ平・双六岳を歩く』(山と溪谷社)、『炭焼紀行』(創森社)。ほかに共著など多数

目次
ゼンマイ折り 星兵市・ミヨ夫妻(新潟県旧湯之谷村)、黒田信一・晶子夫妻(福島県南会津郡)
月山筍採り 渡辺幸任(山形県鶴岡市)
炭焼き 佐藤光夫(宮城県七ヶ宿町)
馬搬 岩間敬(岩手県遠野市)
山椒魚漁 星寛(福島県檜枝岐村)、平野敬敏(福島県檜枝岐村)
大山独楽作り 金子貞雄(神奈川県伊勢原市)
立山かんじき作り 佐伯英之 (富山県立山町)
手橇遣い 大矢義広(岐阜県高山市)
漆掻き 岡本嘉明(京都府福知山市)
木馬曳き 橋本岩松(徳島県美波町)
阿波ばん茶づくり 清水克洋(徳島県那賀町)
コラム/木を運ぶ神事 筏流送の名残を訪ねて

どれもが簡単な仕事ではありません。特に木の運搬は時に命懸けでもあります。それを生業としてきた人々がいらっしゃる。飛行機の窓から下を見ると、ほとんどが木です。現代ではもう無くなってしまった山仕事が多い一方、今も後継者がいる山仕事もあるという。自分が直接そうした山仕事に就くわけにはいきませんが、応援できることはやらねば、と思います。というか、阿波ばん茶「又一」を一口でいいから飲んでみたいものです。著者は「口中を駆け抜ける一陣の爽風。控えめな酸味にわずかな土の香りが混じる。そして喉越しの鮮やかさ。盛夏の暑さもふっと消えてゆく味わい」と書いています。

阿波ばん茶 四国山地の懐で、独自に発展を遂げた後発酵茶製法のとびきり爽やかなお茶

おやー、ナチュラルローソンに阿波ばん茶ペットボトルが売っているらしい。でも、やっぱり茶葉が欲しいなぁ

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ひとりも、死なせへん [本]

コロナ禍と闘う尼崎の町医者、551日の壮絶日記
長尾和弘著

内容紹介:本当の敵は、ウイルスではなくて人間なんじゃないか?「指定感染症2類相当から5類へ! 」「イベルメクチンを開業医の武器に! 」「ステイホームで高齢者を閉じ込めて認知症を悪化させている! 」、、、何か提案をするたび、「町医者のくせに」と叩かれ、おかしな医者だと指さされた。しかしこの人間が地域を守り、多くのコロナ患者を救ったのは、まぎれもない事実である。本書は2020年1月より2021年8月の長尾和宏のブログから主にコロナ関連の記述を抜粋し加筆、編集したものである。一人の町医者の闘いの軌跡であると同時に、日本のコロナ対策を振り返るための、貴重な記録にもなった。まるで、カミュの「ペスト」のように

2020年からコロナがパンデミック化して今に至ります。台東区では隅田川の屋形船でクラスターが発生、タクシー運転手の罹患、永寿総合病院での院内感染などが起きました。浅草通りのアパホテルは、コロナ患者を受け入れているようでした。マスクが手に入らなくなり、あるいは高騰。ついでにキレイキレやトイレットペーパーも品切れが続きました。そして自粛生活。この夏の第5波が今収束しつつあって、なんとなく落ち着きを取り戻してきたところです。身近にコロナに感染が出なかったし、高齢の両親は健在だし、2回のワクチン接種が終わっているし、ちょっと一息です。

しかし、医療現場の真っ只中で奮戦する方々が多数いらっしゃって、その中の一つのドキュメンタリーを読ませていただきました。日々の感染者数、政府の動き、保健所の苦労、医療崩壊の現場、救急隊の苦悩など、相当量の報道を見てきましたが、分からないことが多くて、特に横浜のクルーズ船の対応は、もしかすると、、、政府のトンチンカン施策だったのかもしれません。とにかく、本著を読めば、長尾和弘氏という一人の町医者の良心のカタマリがビシビシ迫ってきます。
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