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灰の劇場 [本]

恩田陸著

内容紹介:大学の同級生の二人の女性は一緒に住み、そして、一緒に飛び降りた、、、。いま、「三面記事」から「物語」がはじまる。きっかけは「私」が小説家としてデビューした頃に遡る。それは、ごくごく短い記事だった。一緒に暮らしていた女性二人が橋から飛び降りて、自殺をしたというものである。様々な「なぜ」が「私」の脳裏を駆け巡る。しかし当時、「私」は記事を切り取っておかなかった。そしてその記事は、「私」の中でずっと「棘」として刺さったままとなっていた。ある日「私」は、担当編集者から一枚のプリントを渡される。「見つかりました」、、、彼が差し出してきたのは、一九九四年九月二十五日(朝刊)の新聞記事のコピー。ずっと記憶の中にだけあった記事、、、記号の二人。次第に「私の日常」は、二人の女性の「人生」に侵食されていく。新たなる恩田陸ワールド、開幕!

恩田陸(オンダ リク) 1964年-。宮城県生まれ。92年『六番目の小夜子』でデビュー。2005年『夜のピクニック』で吉川英治文学新人賞および第2回本屋大賞、17年『蜜蜂と遠雷』で直木三十五賞、本屋大賞を受賞。著書多数

章は「0」「1」「(1)」「0~1」と分けられており、それぞれ、作家としての、飛び降り自殺をした女性二人の、フィクションとして演劇となる、フィクションとリアルが重なる、視点というか叙述というか、全体にもやもやとした灰色の世界が広がります。女性二人で同居することになり、40歳代で死を選ぶに至る訳は一体何だったのか、謎です。それを作者は「本当にわからない?」「彼女たちとあなたと何が違うの?」「あやふやに、適当に毎日を人生を過ごしているのでは?」と読者である私に問いかけてくるのです。ちょっとゾワっとします。人生に少しの迷いもなく、キッパリと堂々と生きている人というのは案外少ないのかもしれません。
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