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わが母の記 [映画]

2012年

配役/役所広司(伊上洪作) 樹木希林(八重) 宮崎あおい(琴子) 南果歩(桑子) キムラ緑子(志賀子)

老耄の母を演じる樹木希林が良すぎるくらい良い。私小説「わが母の記」は息子からの視点のみですが、映画は母の思い、孫娘の思いなども取り入れられていました。娘の琴子の台詞にあるように、井上靖は家族のことを小説に書き、そのことで家族内に時に軋轢があったことがうかがえます。井上靖の全集をくまなく読み込めば、この映画に組み入れられているいくつかの事柄を発見できると思われます。

母、八重と湯が島のおぬいばあちゃとの確執もあった。父親の仕事で家族が台湾へ渡った時に洪作だけが沼津に置いていかれたことを「母に棄てられた」とする洪作に対し、泳げない=海を渡ることが怖くて、万が一の船の事故で家族全員が死んでしまわないよう、やむなく洪作を日本に残した母の胸の内が明らかになります。「母子の愛」をテーマにした映画はわかりやすく、成功していると思いました。つまり、、、はぁ、最後、私も大泣きでした。
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ゴッホ 最後の手紙 [映画]

LOVING VINCENT(2017 イギリス/ポーランド)

解説/「ひまわり」「夜のカフェテラス」などで知られる印象派の巨匠フィンセント・ファン・ゴッホの死の謎を、全編油絵風のアニメーションで描き、解き明かしていく異色のサスペンスドラマ。郵便配達人ジョゼフ・ルーランの息子アルマンは、父の友人で自殺した画家のゴッホが弟テオに宛てた手紙を託される。テオに手紙を渡すためパリへと向かったアルマンは、その過程でなぜゴッホは自殺したのか、その疑問が募っていくが……。俳優が演じた実写映像をもとに約6万5000枚におよぶ油絵が描かれ、アニメーション化するという手法で作られた。

ゴッホはピストルで自らの腹を打ち自殺したといわれていますが、その事件が起きたオーヴェールでは地元の人々がゴッホの死についてああでもない、こうでもないと口にしている。ゴッホの才能を見抜いていたというガシェ医師の妬みが絡んでいるのか、弟テオの負担を考慮してのゴッホの優しさか、ただたんに若者の過ぎた悪ふざけだったのか、その悲劇的な死については結局謎のまま。ただ、ただ、悲しいだけ。ガシェ医師、娘のマルグリット、宿屋ラヴーの娘など、オーヴェールの住民たちとゴッホとのどこか緊迫した空気感が、ゴッホタッチのアニメーションのおかげで増幅されていたように思います。

上野松坂屋の隣にオープンしたパルコヤの上に入ったTOHOシネマズで見ました。ランチはお寿司。パルコヤ6Fの「金沢まいもん寿司」ではゴッホの半券を提示すると、お味噌汁が一杯無料になります。「金沢まいもん寿司」は金沢駅横フォーラスの「北陸金沢 まわる寿し もりもり寿し」と同じシステム、同じネタ揃えで、なんだか金沢へ来たような気分を味わいました。

金沢まいもん寿司 http://www.maimon-susi.com/
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わたしを離さないで [映画]

NEVER LET ME GO (2010 イギリス)

http://dearlip.blog.so-net.ne.jp/2013-02-27
2013年に一度みた映画です。2017年のノーベル文学賞受賞をカズオ・イシグロ氏がもらったのでもう一度みることにして、ツタヤでレンタルしたうちの一本です。

あらためて、、、イギリスの風景が美しいこと、人間のエゴが奥深いこと、人間の死の尊いこと。ドナーの死は「死」ですらなく、ただの「コンプリート」=「任務終了」と表現されています。そこまでの映像はありませんでしたが、いわゆるお葬式のような儀式も、さらにはお墓すらないのかもしれません。「悼む人」の静人ならきっと「臓器を提供された人の生を助けたことで感謝されました。ドナーとしての生活の中で愛し、愛されることもありました。あなたが精一杯この世に生きたことを私はずっと覚えています。」と唱えてくれることでしょう。
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悼む人 [映画]

2015

映画化されていたというので、レンタルしてきました。配役は、、、坂築巡子=大竹しのぶ、坂築鷹彦=平田満、坂築静人=高良健吾、坂築美汐=貫地谷しほり、怜司=山本裕典、蒔野抗太郎=椎名桔平、甲水朔也=井浦新、奈義倖世=石田ゆり子。本の内容を適度に省略しながらも、大切な場面だけはきっちりと描いた、、、すなわち、全編にわたり暗い雰囲気の仕上がりです。石田ゆり子はずっと土気色の表情だし、大竹しのぶは刻々と死につつあるし、椎名桔平の場面はエロいしグロい。それに井浦新演じる甲水の方が高良健吾よりも存在感たっぷりでした。

だから原作を読まずに映画を見た人には重たすぎる結果になるのでは、と思いました。一方、今治の海岸、里山の風景などは大変美しくて良い。椎名桔平が地面に埋められて死にそうになった時の映像は、、、人の死に際して、それがどんな風に死ぬことになるにしても、辺りは虹色の光に包まれて、静人のような観音さまのような誰かが天から手を伸ばして、死にゆく人の魂をふんわりと救い上げてくれるのでは、、、と想像をさせてくれました。
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ラ・ラ・ランド [映画]

LA LA LAND (2016 アメリカ)

さすがアカデミー賞受賞作品です。ライアン・ゴズリングがピアノを弾く、歌う、タップダンスを踊って、、、ためいきが出るほどカッコいい。衣装や背景の美術もすごく良い。エマ・ストーンなんてアカデミー賞の主演女優賞だったんだし、力あるわー。映画に登場したグリフィス天文台やどこにあるのか海岸の桟橋など、行ってみたいものです。

月曜日は台風21号の風雨大荒れとの天気予報に、自分も一日家に引きこもるつもりで、ツタヤからDVDを借りてきたのですが、、、御前崎に上陸した台風はあっという間に東京を通過して北へ行ってしまいました。朝のうちに雨はやみ、昼には青空と陽射しが。「台風一過」という言葉どおりの一日でした。
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インフェルノ [映画]

INFERNO (2016 アメリカ)

ダン・ブラウン原作の世界的ヒット作「ダ・ヴィンチ・コード」「天使と悪魔」に続き、トム・ハンクスが三度、ハーバード大学教授の ロバート・ラングドンに扮したシリーズ第3弾。

「天使と悪魔」ではローマが、「インフェルノ」はフィレンツェの観光名所が次々登場します。それが楽しい。ドゥオモ=サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂はもちろん、その近くらしいバディア・フィオレンティーナの塔。ピッティ宮殿、ボーボリ庭園からブオンタレンティの洞窟を抜けてヴァザーリの回廊へ。回廊は有名なヴェッキオ橋の上にあり、そのままウフィッツィ美術館、ベッキオ宮殿へとつながっている。失われたダンテのデスマスクを探してサン・ジョヴァンニ洗礼堂へ。

舞台はさらにヴェネツィアへ移動し、最後はトルコのイスタンブールへ。

このごろ、世界中で自爆テロが起きています。この映画のように生物兵器を使い、それでウィルスが拡散し、人類破滅、、なんて、想像するだけでゾッとします。

マンチェスター・バイ・ザ・シー [映画]

Manchester by the Sea (2016 米)

この頃はたいして映画を見てはいませんが、アカデミー賞授賞式だけはなぜか毎年見ています。そこで作品の断片を何度も目にするんです。断片からストーリーをある程度想像していましたが、冒頭から違っていました。てっきりイギリスのマンチェスターという町の話と思っていました。ところがアメリカの話だったんですね。主人公のリーはボストンで暮している、そこへ故郷の兄の訃報が届く、リーは「1時間半後にそっちへ行く」と言って車を飛ばす。れれれ、いつ飛行機に乗るんだろうと疑問だったわけです。

メイン州マンチェスターはボストンの北の海岸沿いでした。

自分も分かっていて何度も反省してきたはずなのに、怒りっぽい性格は今でも直らない。他人と不器用な会話しかできない。そんな弟に比べて、人付き合いも良い善良な兄は最後まで弟のことを考えていた。弟が、息子の後見人となって一緒に暮すようにセットアップしておいてくれたのだ。甥との相性もそう悪くはないけれど、リーは町へ戻ることはできなかった。リーの心はそれほど深く傷ついていた、というか、すっかり心が砕けてしまっていたのだ。過去の事件を乗り越えることができない。人間はそうそう強くなんかない。簡単に性格は変わらない。それでも手探りしながらちょっとづつ前へ進むしかない。

甥のパトリックはハイスクールの16才、その日常がとてもリアルに描かれていると思いました。バンドの練習の時、ドラムの子をちょいちょい虐めていたようですが、深く掘り下げされもせず、作品の中で何か意味があるのか分かりませんでした。ただの日常ありがちなこと、なのかな。

しゃぼん玉 [映画]

2016

殺人犯が逃げて、宮崎県椎葉村へ辿り着き、怪我をしたおばあちゃんを助けて、逗留。おばあちゃんや村の人々から頼りにされて暮しているうちにまっとうな人間に戻り、罪を認めて警察署へ。「殺人」はもしかすると殺人ではなかったのかもしれません、わずか3年で出所し、おばあちゃんの家へ戻っていく。なんとなく、すこーし、原田マハ「生きるぼくら」的な話かな。
http://dearlip.blog.so-net.ne.jp/2013-03-11

林遣都が演じる主人公「いずみ」は、どんなに悪ぶってはいても、まだ若いし素直で心根の優しい人だったのでしょう。それに加えて、おばあちゃんが何かにつけて言う「ぼうはええ子じゃけぇ」という台詞が効果を発揮したのかもしれません。映画冒頭の殺人時の追いつめられた表情と椎葉村でみせるかわいい顔のギャップがとても良い。

雲海を見下ろすことのできる山の上の暮らしは、現実にはもっと過酷なのでは、と思いました。

ヨーヨー・マと旅するシルクロード [映画]

The Music of Strangers (2015 アメリカ)

チェロの映画を見よう、とシネスイッチ銀座へ。金曜日はレディースデー、950円なり。「ヨーヨー・マ」+「シルクロード」というキーワードでどんな映画なのかと興味津々でしたが、、、期待以上に良い内容でした。「シルクロード・アンサンブル」は、世界の様々な楽器で構成された音楽グループ。いろいろなセッションシーン、その合間にヨーヨー・マの語り、それぞれの演奏家たちの語りが入ります。アメリカ、中国、スペイン、トルコ、イランやイラクなどの映像も美しい。音楽が国境を越えて奏でる音の重なりは、まるで宇宙誕生の時のエネルギーの爆発のようだなと思いました。

映画館売店で「弾ける!! チェロ」と雑誌「サラサーテ」特集「チェロ無しではいられない」を買ってしまいました。「サラサーテ」の表紙はなんと堤剛氏です。

シルクロード・プロジェクト http://www.silkroadproject.org/

三十四丁目の奇蹟 [映画]

MIRACLE ON 34TH STREET (1947 アメリカ)

http://dearlip.blog.so-net.ne.jp/2005-11-25-2
http://dearlip.blog.so-net.ne.jp/2005-11-25-1

たまたま、この週末もトーモクンがお泊まりに来て、来れば必ず台東区中央図書館のDVDコーナーへ行くことが習慣になっていて、それで今回はクリスマスの特集から「THE SNOWMAN AND THE SNOWDOG」と「三十四丁目の奇蹟(1947年)」の二本を選んで借りてきました。「スノーマン」のお話は台詞はまったくないけれど音楽とアニメーションが良く、トーモクンにも分かりやすかったみたいです。あんまり良いお話で、一緒に見ていた自分の方が泣けてきてしまって、、、私の膝の上に座っていたトーモクンのホッペタに私の涙がポロリと一粒落ちたみたいでした。トーモクンは「おうちの中に雨は降らないはずなのに、なんだ? なんだ?」ととても不思議そうにしていました。

「三十四丁目の奇蹟」は出だし部分でトーモクンは飽きてしまったようです。日本語吹き替えに切り替えてもダメでした。トーモクンが浦安へ帰ってしまってから、一人でもう一度最初から見直してみたところ、、、これがまたとても良い映画でした。このお話は「サンタ・クロースを信じるかどうか」が争点の裁判がメインで、でも、ベースにメイシーズの社員ドリスとクリス・クリングル氏の弁護人のゲーリーの恋愛、そしてなによりもドリスの娘のスーザンの意識の変化が見所です。このスーザン役が9才のナタリー・ウッドだったんですねぇ。裁判は「サンタ宛の子どもたちの手紙が裁判所のクリス・クリングル氏へ配達されたこと」=「アメリカの国の公的機関である郵便局がクリス・クリングル氏をサンタと認めた」で解決されて、めでたし、めでたし。カラー映像化されていない、モノクロバージョンです。